制作会社とフリーランス。Web制作の発注先として、比較検討に上がることがよくあります。特に2020年以降はWeb需要が急速に高まったこともあり、発注先について悩む人も多かった印象です。
制作会社とフリーランスのどちらに発注するにしても、それぞれの特徴を正しく理解しないまま依頼したのでは、期待通りの成果が得られません。
ここでは、制作会社とフリーランス、それぞれに発注する利点と、注意点をご紹介します。Web制作の発注先を検討されている方は参考にしてください。
発注のポイントは制作会社とフリーランスの特徴を把握すること
「制作会社とフリーランスはどちらが優れているのか」という議論に正解はありません。よく聞く意見として「フリーランスは安い分、低品質」というものがありますが、人によってピンキリであるため、一概に言い切ることはできません。また制作会社でも「言ったことしかしてくれず、まともな提案が行われない」ことも多々あります。
そのため、制作会社とフリーランスに優劣はつけられません。
ただ、全体の傾向として、それぞれに特徴があることは事実です。両者の特徴を正しく認識した上で発注すれば、Web制作で失敗する可能性を減らせます。
Web制作会社に発注する利点
Web制作会社に発注する上で、主な利点は2つあります。
比較的品質が安定している
Web制作会社ではひとつのWebサイトを作るために、ディレクター、デザイナー、コーダーなど、さまざまな人員が携わります。各工程をその道のプロが担当するため、Webサイトとしての品質はに担保される傾向にあります。
また、組織として制作フローが標準化が進んでいれば、担当者ごとの品質にばらつきが生じにくいのも大きな特徴です。もちろん担当者によってスキルレベルの差はありますが、品質管理のポジションにはスキルの高い経験者が置かれるため、納品物の品質は安定します。
運用保守まで任せやすい
Webサイトは納品してからも、軽微な修正やメンテナンスなどの保守管理が発生します。そのため、発注先のWeb制作事業に継続性があるかという視点も、依頼先を検討するひとつの指標になります。
制作会社はフリーランスよりも、事業として継続性が高い傾向にあります。そのため、長期的な関係を築きたいのであれば、制作会社の方が安心して任せられます。
Web制作会社に発注する際の注意点
Web制作会社に発注する上での、主な注意点を紹介します。
制作費用が高くなる
制作会社の見積もりは、単純な制作費だけでなく、間接コストも含む金額であるため、フリーランスに依頼するよりも高い傾向にあります。
例えば、固定5ページ、投稿タイプ1種類のWebサイトを作る場合、制作会社の見積もり金額は50万円を超えることが多いでしょう。一方で、クラウドソーシング「ランサーズ」で同様の案件を比較すると、30万円程度でも仕事を請けるフリーランスは数多く存在しています。
このように、依頼内容が同じだとしても、制作会社の方が金額は高くなります。
制作スケジュールが長い傾向にある
制作会社では、ひとつの案件に複数の人員が関わります。また、常に数種類の案件が進行しているため、ひとつの案件に100%のリソースを割けるわけではありません。
たとえ、難易度が低い制作案件だとしても、数ヶ月の期間は少なくともかかるため、突発的な制作依頼には対応してもらえない可能性が高いです。
フリーランスに発注する利点
次にフリーランスに発注する上での、主な利点を紹介します。
制作費用が安い
もっとも大きな利点は、価格の安さです。
フリーランスの多くは個人で活動しているため、見積もり金額は単純な制作費のみになりやすいです。制作会社のように間接コストがかからないため、比較的安い傾向にあります。また、案件にまるまる1ヶ月かかるような内容でも、仮に30万円で請けられれば、その月の生活費としては十分にまかなえるため、価格は比較的抑えられています。
近年のイメージでは、フリーランスに低スキルな印象を持つ人も多いです。ただ、ベテランが独立してフリーランスに転身するケースもあるため、そのような人材を見つけられれば、高品質なサービスを企業価格より安く頼める可能性もあります。
担当者を指名できる
フリーランスに発注することは、制作者を直接指名するということです。
デザインやコーディングなど、その人自身の実績を見た上で発注できます。もし、制作のイメージが固まっており、それに近しい実績を持つフリーランスがいれば、期待通りのものを作ってもらえるでしょう。
制作会社の場合は、会社に発注することはできても、その中で誰に作ってもらうかまでは指名できません。また、制作会社の実績を信じて発注したのに実際の担当者は新人であるなど、不安に感じる場面もあるでしょう。
フリーランスに発注する際の注意点
フリーランスに発注する上での、主な注意点を紹介します。
廃業リスクが高い
フリーランスは個人都合で廃業する可能性があります。
フリーランスへの発注はあくまで個人への依頼であるため、その人への依存度が非常に高いです。もし過去に発注したフリーランスが再就職することになれば、それ以降は仕事を頼むことが難しく、対応してくれる別の人を探さなければなりません。
制作会社であれば、担当者が転職したとしても、別のスタッフが引き継いでくれるため、その後の対応もスムーズです。
Webサイトは納品後も保守管理を続けていく必要があるため、廃業リスクが高いフリーランスは、運用の観点で大きなリスクとなります。実際に弊社へのお問い合わせでも、依頼していたフリーランスが廃業し、急遽別の会社を探すために苦労しているお客様が多いです。
信頼できるフリーランスを見つけるのが難しい
Webサイトを作るためには企画、設計、デザイン、コーディングなど、さまざまな業務が発生します。そのすべてを一人で対応するためには、幅広いスキルセットを一定以上の水準で満たさなければなりません。そのため、優秀なフリーランスの数はそこまで多くありません。
また、実績豊富なフリーランスに発注するためには、報酬もそれに伴うものでなければなりません。優秀な人はすでに仕事に困っておらず、自らが案件を選べる立場にあります。
そのため、信頼できるフリーランスと仕事を進めるためには、発注者自身がフリーランスのスキルを見極められること、そして好条件を提示できなければなりません。
まとめ
Web制作会社とフリーランスで発注先を考えるのであれば、まずはそれぞれの特徴について把握することが大切です。もし、制作だけでなく長期で運用まで任せたいのであれば制作会社が安心ですし、とにかく安さと早さを重視するのであればフリーランスが適しています。
依頼先に何を希望するのか明確にすることで、適切な選択肢も浮かび上がります。Web制作の発注にお役立てください。