「戦略」と「戦術」
似たような言葉なので、区別せずに使っている人も多いでしょう。私自身もそうでした。
ただ、ことマーケティングにおいては、「戦略」と「戦術」は明確に違います。ここでは戦略と戦術の違いと、その関係性について考えようと思います。
そもそも戦略と戦術ってなに?
まずは戦略と戦術のそれぞれに、どんなものが挙げられるのか具体例に見てみましょう。
戦略 | 戦術 |
---|---|
新規受注件数を20社増やす | Web広告で認知拡大を目指す |
中途採用で年間15人獲得する | 採用オウンドメディアを制作する |
既存顧客のリピート購入率を20%させる | メルマガで情報発信を行う |
ざっと比較するだけでも、戦略と戦術の違いが何となく見えてきそうです。
戦略とは目的を達成するための選択と集中
戦略とは、ある目的を達成するために、より効率的な選択をすることです。
例えば「大阪から東京に、できるだけ早く移動したい」という目的があるとき、あなたはどんな移動方法を考えますか?
新幹線を選ぶ人が多いと思いますが、状況によっては車や飛行機も選択肢に入るでしょう。早く着きたいという目的に対して、新幹線での移動手段を選ぶ、これこそが戦略です。
戦術とは戦略を実行するためのプラン
新幹線で行くことを選んだら、大阪から東京までの乗り換え案内を調べますよね。
乗り換え方法によっては価格が安くなったり、少し早く到着できたりとさまざまですが、「できるだけ早く移動したい」という目的を達成するのであれば、少しでも到着時間が早い乗り換えを選ぶのがベターです。これこそが戦術の選択です。
戦術は、常に戦略の後に来ます。
戦略が悪いと人生ハードモードが始まる
できだけ早く東京に行きたいのに、自転車を選ぶとどうでしょう?最悪です。
自転車でもどうにか早く辿り着けるように、筋トレや体力づくりを必死に頑張るなど、愚の骨頂です。しかし、ウェブマーケティングの世界では、こうしたケースが頻発しています。
戦略設計がいい加減だと、どれだけ素晴らしい戦術を考えても、結果が出ないケースが多いのです。
戦略と戦術の最悪な組み合わせ
ここで戦略と戦術について、それぞれ良いパターン、悪いパターンを考えてみましょう。
- ①良い戦略×良い戦術
- ②良い戦略×悪い戦術
- ③悪い戦略×良い戦術
- ④悪い戦略×悪い戦術
この中で、最も最悪な組み合わせは③悪い戦略×良い戦術です。
「①良い戦略×良い戦術」は最高のパターンです。やればやるほど結果にも現れます。
「②良い戦略×悪い戦術」は改善の余地がありますが、戦略がズレていなければ、少なからず結果にはつながります。
「④悪い戦略×悪い戦術」は当然結果が出ません。何の成果も出ないため、すぐに撤退できます。
そして残るは「③悪い戦略×良い戦術」。このパターンは非常に成果につながりづらく、費用対効果がかなり悪い施策です。全く結果につながらなければいいのですが、クリエイティブが整っていたりすると、ラッキーパンチでわずかに成果が出ることがあります。そこから、アクセルを踏んでより多額の予算を投下した日には、撤退ラインを逃し、予算に対して売上も見込めず、後になって取り返しがつかないケースに陥ります。
戦略が最重要、その次に戦術
ウェブマーケティングの世界では、なぜか戦術を先に考えてしまうケースがよくあります。「とにかく記事を投稿してSEOで上位表示したい」ケースなど、まさにその象徴です。(SEOに取り組むこと自体は素晴らしいと思います)
戦術はあくまで手段です。その手段自体が目的になってしまうと、大抵成果にはつながりません。
記事を書く理由ひとつとっても「なぜその作業を行う必要があるのか?」を論理立てて説明できなければ、手段が目的になっているサインと言えるでしょう。
目的に対する戦略があって、その次に戦術を考える。この流れを自分自身も忘れないように、日々取り組んでいきたいと思います。